アトピーが原因でバイトを辞めた話
こんばんは、イキタイナです。
今回は、僕のアトピーが原因でとあるバイトを辞めた話をしたいと思う。
こんな体になってしまってはいるが、僕は接客業が大好きだ。自分の接客はそのままお客様の笑顔に繋がる。「ありがとうね」、「また来るよ」。そんな声が聞けたときは何よりも嬉しかったし、やり甲斐も感じていた。
バイトを初めて2ヶ月。そんな毎日に暗雲が立ち込めたのは、突然だった。
あるとき僕が仕事をしていると、「すいません」とお客様に声をかけられた。
その方はそれなりに遠くの方で僕を呼んだらしかった。「多分あの人が呼んだんだな」とは理解できるものの、顔の判別まではいかないレベルだった。
僕はすぐさまお客様の元へ向かい、満面の笑顔で声をかけた。するとお客様は僕の顔を見るなり、こう口にしたのだった。
「うわっ」
お客様のあの顔、僕は一生忘れないだろう。真顔だったお客様が一瞬にして、嫌悪感に染められた顔になった。
思えば当時は7月で、気温が高かった。汗をかく影響もあり、僕の顔は真っ赤だった。しかも顔を掻き毟ったせいで、所々血が滲んでいる。目は窪み、まともに目を開けることさえできない。乾燥も酷く、鼻の下、目、顎の付近は白い粉のような皮で埋め尽くされていた。
もっと言うと、抜毛症の影響で睫毛はほとんど抜け、眉毛は薄く短く、麻呂のような見た目だった。正直、酷い状態だったと思う。
そのお客様の応対は僕の予想に反し、案外あっさり終わった。一瞬怪訝そうな顔はされたものの、それ以降はアトピーの話題に触れることもなかった。
そしてそのままバイトが終わったのだが、バイト終了後、突然店長に呼び出されたのだった。
店長いわく、「クレームがきた」らしい。もちろん、僕に対してだ。そして内容は「あんな顔のやつを店に出すな。気持ちが悪い」というものだった。
僕は悲しくなった。痒みに耐え、痛みに耐え、好奇の目に耐え。辛い体に鞭打ってまでも、なんとか日銭を稼がねばと必死になって生きている僕に対して、そんなことを思われているのだと、心底絶望した。
そして店長が僕に言った以下の言葉が、さらに僕をドン底に突き落としたのだった。
「身体中に氷入れてバイトやったら?」
「ベッドに体を縛り付けたら悪化しないんじゃない?かかないから」
「我慢できないの?」
「薬塗ってる?飲んでる?病院変えたら?」
僕がこのブログを立ち上げた理由に『世間の認識がない』というものがあるが本当にそうで、世間一般は『アトピー=ちょっと痒くなる』くらいの認識でしかないのだと知った。
そして僕は次の日からバイトを休んだ。あの一件以降、人にどう見られているのかが怖くなったのだ。
あれほど楽しかった接客業は、今となっては地獄でしかない。自ら人に顔を晒しに行く行為は、僕の精神をすり減らせた。
そして狙ったかのタイミングで、アトピーは重症化した。毎日痒く、夜は本当に一睡もできない。店に入れば、エアコンの冷房が体を切り裂く。立つこと、座ること、寝返りをうつことすら苦痛で、僕は一日中ベッドで過ごした。
バイト先には申し訳なかったが、どうしても無理だった。心と体が悲鳴をあげていた。
そして1週間後。バイトを休み続ける罪悪感から、僕はバイトに復帰した。バイトに向かう途中は、痛みが治まらないので、数分おきに身体中に軟膏を塗りたくって何とか耐えた。見てくれは悪いが、顔の荒れが酷かったので、保湿剤をこれでもかと塗った。顔中テカテカで、真っ赤だった。
1週間前よりも悪化しているのは間違いなかった。
そしてバイト先に到着した。久しぶりに会うパートのおばちゃんたちに、僕は大きく挨拶をした。
返ってきたのは、「久しぶり!」でも「大丈夫だった?」でもなかった。
無視されていた。パートの人同士では和気あいあいとしているのにも関わらず、誰も僕と顔を会わせない。話さない。
僕は人間関係の構築が下手だ。だがこのバイト先はみな優しく、顔がただれた僕にも優しく接してくれていた。だが何だこれは。1週間前とは雲泥の差だった。
おかしいと思い、一番仲の良かったパートの方に話しかけた。「ご心配おかけしました。本日からまた頑張っていきますので、よろしくお願いします」と。
すると一言、こう返された。
「もう私たち、これからイキタイナくんの体調に関しては、何も考えないことにするから」
僕は一瞬、何が何だかわからなかった。
これはその後1週間勤務して分かったことだが、バイト先は非常に忙しい時期だったそうで、連日人手不足だったようだ。
そこで僕が休んだものだから、本来休みをもらっていたはずの人が僕の代わりに駆り出されることになり、フラストレーションが溜まったのだと推測する。
そして店長は「イキタイナくんの代わりに出てほしい」とパートの人に電話をする際、こう言っていたという。
「イキタイナくん、アトピーの件で休むって」と。
おそらくパートの人はこう思ったに違いない。「痒いだけで休むのか」と。事実、僕はその仲の良かった人にこう言われた(原文そのまま)。
「痒いだけで休むなんて非常識だと思わないの?私たちだって大変なこともあるけど頑張ってんだよ?」と。
身体中が痒かった。毎日眠れず、目には隈ができ、地獄の日々を過ごした。
身体中が痛かった。動けず、外にも出れず、ケロイドのような体で過ごしてきた。
そんな生活を続けメンタルがドン底に落ちていた僕にとって、その発言はあまりにも酷だった。
そこから辞めるまでの道筋は、容易に想像できるだろう。
僕ははっきりと思った。アトピーの人間は、生きるだけで地獄であると。人権はないのだと。全うな生活など送れないと。
さて、現在の僕はというと、もうひとつやっていたアルバイト一本に絞って生活している。
そのアルバイトも接客業だが、僕の体調のことは全員が分かった上で、『長時間のシフトは入れない』、『辛ければいつ帰ってもいい』という特例つきで働いていて、本当にありがたいと思っている。
だが時折思う。
「本当にみんな、僕の体を理解しているの?」と。
「本当にみんな、僕が早引けするのを好意的に見ているの?」と。
そう考えると、バイト中も胸が痛くなる。
月の収入はわずか4万円。そこから親へいくばくか渡し、年金を払い、保険料を払ったりしている。
貯金を切り崩しながらの生活。ギリギリだ。
そしてアトピー性皮膚炎という難病は、国からの援助も何もない。社会的に死に、ただ苦しみ続けるのだ。
たまに思う。極端な話だが、もし僕の腕がなかったり、車椅子に乗っていたとしたら、あのバイト先の僕への対応も変わっていたのかなと。国からの援助も出て、今より生活は楽なんじゃないかと。
このブログを見ている同じアトピーに悩んでいるあなたに伝えたい。あなたは今まで、何度も何度も死のうとしたはずだ。そして死にきれなかった半端者だと思う。
僕らは生きるしかないのだ。何があっても、生きるしかない。
僕らの人生、必ず報われるときがくる。そう思わないと生きていられないから、思い込むしかない。
頑張ろう。頑張ろう。頑張ろう。死ぬ気で頑張ろう。
苦しんだ日々が笑い話になるその日まで。
鬱病① 自己紹介
こんばんは、イキタイナです。はじめまして。
今後ブログ執筆を行うにあたって、まずは僕自身のことを『鬱病』という観点から語りたいと思う。
僕はとある地方都市で暮らす23歳だ。現在はフリーターをして生活をしている。
僕は『鬱の疑いが大いにある』との診断は受けたが、はっきり鬱病と言われたわけではない。
このブログ内では、主に僕自身が長く戦い続けている『鬱病』、『抜毛症』、'『アトピー』について語っていくつもりだ。
そして『鬱病』というカテゴリーでの執筆の際は、鬱病患者の思考や核となる部分に関して書きたいと思う。
正直、書くのは気が進まない。僕にとって病気のことを世間に晒すということは初めての経験だから。友人、家族にも一度も言ったことのないことを、僕は今後書こうとしている。
ではなぜ、身を削ってまで病気のことを書こうと思ったのか。それは、世間があまりにもこの3つの病気について、理解がないからである。
はっきり言おう。この3つの病気のいずれかを持っている人間は、現代社会では生きていけない。常に辛く苦しい思いをしながらも、誰からも理解されず、ひとりで病んでいく。
このブログは、そんなクソッタレな病気への理解が深まるきっかけになれば幸いである。
鬱病=メンヘラだとか、鬱病=甘えだとか。僕のブログを見て、少しでもそんな曲解を減らしたい。
そして実際に鬱で悩んでいる人は、何らかのポジティブな気持ちになってほしい。あなたはひとりではない。
少なくとも、鬱で新卒での会社を半年で辞め、定職にも就かず、精神を病みながらバイト先を転々としながら毎日自殺を考える、このイキタイナという人間だけはあなたの味方である。
『逝きたいな』という気持ちが『生きたいな』に変わることを祈って。
イキタイナのブログ、はじめます。